私が中学校教員として、大和市で働き始めた時、教え子にベトナム人の男の子がいました。彼と彼の家族は命からがら日本へ逃れてきた難民(ボートピープル)でした。
その後も様々な国にルーツを持つ教え子と出会いました。生徒本人は日本語が話せても、親は日本語が理解できず困ることも度々ありました。親の都合で来日したものの、全く日本語が話せないまま日本の学校へ入学し、困っている子どもたちにもたくさん出会いました。
そのような経験を通して、私は日本語教育に興味を持つようになり、大和市国際化協会の主催する「日本語ボランティア教師養成講座」を受講しました。さらに、退職後は海外で日本語教育に挑戦したいと思い、そのためには日本語教育の経験が必要だと考え、長年大和市で日本語教室として活動しているボランティア団体として「大和日本語教室」を知り、仲間に加えていただきました。
最初は補習クラスで外国籍の児童・生徒の学習支援に携わり、自分自身が日本語教育能力検定試験に合格した後、中級クラスでの授業を受け持つようになりました。
「大和日本語教室」の良いところは、経験豊富な先輩方がたくさんいて、いろいろ教わりながら経験を積めるところ、1 対1でなく、グループ指導(授業形式)であること、規模が大きいので、日本語能力によって学習者が6グループに分かれていること、遠足や交流会などの行事もあって学習者と共に楽しめる機会があることなどがあげられます。特に交流会は学習者の中からも実行委員が出て、一緒に行事を作り上げる楽しい行事です。初めて参加した交流会でインドネシアの学習者が教えてくれたダンスはとても思い出に残っています。授業での学習者とのやり取りも、国による文化の違いや考え方の違いを知ることができます。
また、私は、独立行政法人国際交流基金の日本語パートナーズの一員として、2022年8月~2023 年6月までの10か月、ベトナムのフエへ派遣される機会を得ました。フエでは、ベトナム人の日本語の先生と共に、中学校や高等学校で日本語や日本文化を教えました。異国の地での生活や言語習得の大変さ、多くのベトナム人に支えられ助けられた経験を通して、帰国後は学習者の困り感に丁寧に寄り添いたいという思いがより強くなりました。
大和日本語教室でのボランティア活動は、ただ日本語を教えるだけでなく、自分自身も学習者からたくさんのことを学ばせてもらえる貴重な場です。日本で暮らす彼らが日本をそして、日本人を好きになってくれたら嬉しいですし、私たちにとっても世界を知ることができる場だと思います。世界に興味がある人はぜひ仲間になっていただけたら嬉しいです。
麦わら帽子さん